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「小1の壁」、知っていますか?
「子どもが小学校にあがったのだから、仕事に思う存分集中できるね」子育て中の社員に対して、そう考えている管理職の方はいらっしゃいませんか?
実際は、仕事と育児の両立は小学校に上がってからより大変になると感じる人も少なくありません。その大きな要因と言われるのが、小1の壁です。
実はこの問題は、女性活躍が現場で進まないひとつの象徴的な例でもあるのです。こんな声があがっています。
| “小1の壁が不安で数年前から転職を含め色々と模索していますが、まだ答えは出ていません” “仕事人間になってしまっている男性に、夏休みや小1の壁の実情を、もっとリアルに知ってもらいたい” “仕事を続ける上で、手厚いフォローが受けられる保育園時期より小学校時期が大きな壁になるということを、世の中に知ってもらいたい。仕事も子育ても妥協したり、諦めたりしたくない” |
そもそも、小1の壁とは何か?
小1の壁とは、一言でいうと、保育園時代よりも、仕事と子育ての両立がしづらくなることです。
小学生が通う「学童保育」は、実は、小学生になるまで通う保育園よりも運営時間が短いです。さらに、夏休みにはお弁当も持参しなければいけません。その一方で、仕事では時間短縮勤務が切れるケースが多いのです。さらに、親の参加・フォローが必要な行事や物事が増えて大変になるのに加えて、保育園時代のようなお迎えがなくなるため、子どもの状況が見えにくくなります。
弊社は、この問題が女性活躍にどういう影響を与えるかについて、2018年7月に厚生労働省の記者クラブで勉強会を実施しました。さらに、保育園・小学生の子どもを持つ親に、この小1の壁についてそれぞれアンケートを実施し、現状把握や課題の明確化をおこなっています。
本記事では、まず、総勢約600名の方にご回答いただいた、小1の壁のアンケート結果についてお伝えし、その上でこの問題に対して企業ができる対策のヒントも解説していきます。
保育園ママ・パパにとっての小1の壁とは?(アンケート回答)
| 回答者:保育園に通う子どもを持つ 18-48才の294名(男性25名、女性268名、その他1名) 役職割合)一般社員/スタッフ41.8%、係長・主任/リーダー26.2%、部長・課長/マネージャー5.8% |
◼️小学生に上がるタイミングでの、両立への不安はありますか?
「とてもある」「まあある」の回答を合計すると、90%以上の人が小学校に上がるタイミングで両立に不安を感じています。
そして、この小1の壁への不安で、転職・退職を考えた経験がある人は35.4%にも上りました。
◼️小1の壁が原因で、転職・退職を考えた経験はありますか?
3人に1人が、働き方を変えようと思うきっかけになるほどの、深刻な問題ー-。小1の壁で、何が大変だと感じているのでしょうか?
◼️小1の壁が大変と思う理由 トップ5(保育園ママ・パパ)
| 1位:夏休み・春休みの対応(87.4%) 2位:学童の預かり時間(72.4%) 3位:PTA・保護者会などの学校活動(70.4%) 4位:子どもの友人関係・安全・勉強などの状況(67%) 5位:持ち物・宿題・勉強サポート(59.2%) |
大変と思う理由について、具体的な不安が多く寄せられました。
| “学童のお迎え時間が、保育園のお迎え時間より早いため、仕事を今より1時間早く切り上げ退勤する必要があり、会社滞在時間が短くなる。リモートワークを推奨しない会社のため、退職した方がいいのではと考え始めたら気持ちが落ち込む。とはいえ、学童後、さらにシッターさんにお願いするほど、金銭的余裕はないし、子どもの学校の時間や行事を最優先したい気持ちも強く、ジレンマ” “長期休みの際の預け先がなく、どう対策をしたら良いかわからない” “時短は未就学児のみ。学童の実態が不明” “小学生になると、残業や早出免除がなくなるが、まだまだ子どもに手がかかるのは変わらないのが困る。夏休みの学童の弁当を作るのが大変そう。希望をすれば昼食の提供をぜひしてほしい。今までは保護者はフルタイムで働いている人がほとんどだったが、PTAの仕事とか、ほかの保護者とうまくやっていけるか不安” “就業時間と学校の時間が全く噛み合わないこと。働き方を変える必要と、子どもの就学に向けた自身のスキルアップなどの必要性を強く感じる” “未就学時代とは違って、学力による点数付けや競争が発生する中で、親として、きちんと時間を取って、何かあれば気付けるようなコミュニケーションができるか、充分なサポートをしてあげられるかが不安” “学内にある学童の預かり時間が18時まででお迎えに間に合わない。かといって一人で帰宅させて自宅で過ごさせるのも、小1ではまだ心配” |
子どもが保育園にいる間から、小学生に上がるうえでの多くの不安を抱えている親の姿が浮かび上がりました。
では、実際に小学生を持つ親はどう感じているのでしょうか。
◼️小学生ママ・パパが経験した 小1の壁の実態
| 回答者: 小学校に通う子どもを持つ 18-48才の291名(男性21名、女性270名) 役職割合)一般社員/スタッフ29.9%、係長・主任/リーダー19.2%、部長・課長/マネージャー8.6% |
◼️小学生になり、入学前より両立が大変に感じますか?
78.7%の回答者が、実際に小学生になり両立が大変になったと答えています。以下のような具体的な理由もあがっています。
| “労基上子どもが就学すると正規での時短ができなくなる、時短するなら契約社員になる、契約社員になると初めのうちは有休が半分になる(10日)と職場から言われた。通勤時間と家事育児を考えると、勤務時間を伸ばすことはとてもしんどいため、契約での時短を選択した” “預かり時間が保育園は7:00〜、学童は8:00〜。PTAや係が増えた。春休みや夏休みのお弁当の負担。週2で夏休みは仕出し弁当を頼めますが、子どもは美味しくないとのこと。でも負担を減らすために頼んでます。学級閉鎖時はそのクラスの子は学童へ行けない。子どもが元気なのに預け先がない。職場では小学校へ入ると看護休暇が使えない。” “持ち物や宿題のフォローに、時間がかかり夕飯も作れず、食べれず。イライラしてしまい、子どもを攻めてしまうことが多かった。これから、こんなに時間をかけなくてはならないのかと、不安になった” “保育園の延長保育が19:30までだったのに対して、学童は18:00までなので、自分の帰宅までの過ごし方が不安。(実際には義母の手を借りています)保護者会、個人面談などのために会社を早退したり仕事をやりくりするのも大変。結果、保護者会は最近はパスしている。PTAとの関わり方も、自分の姿勢を決めることが大事” “保育園時代は送迎時、毎日先生に会うので、子どもの様子がよく分かったし、育児で困りごとがあればいつでも相談できたが、小学校は先生とのコミュニケーションがほぼなく、日々の様子が分からないし、子どもの相談をする機会も圧倒的に少なく、育児が孤独に感じた” |
◼️小1の壁が原因で、転職など働き方を変更しましたか?
4人に1人が、小1の壁対策として転職など働き方を変更しています。何が大変だと考えているのでしょうか。
◼️小1の壁が大変と思う理由 トップ5(小学生ママ・パパ)
| 1位:持ち物・宿題・勉強サポート(74.2%) 2位:夏休み・春休みの対応(72.5%)学童の預かり時間(72.4%) 3位:子どもの友人関係・安全・勉強などの状況(55.7%) 4位:PTA・保護者会などの学校活動(55%) 5位:子どもの意思を尊重した日々の対応(50.5%) |
保育園ママ・パパの将来を見据えて”大変そう”と思うことに比べて、子どもの物理的・精神的サポートが特に大変だと感じる結果になっています。共通しているのは、「夏休み・春休みに対応」がトップ2に入っている点ですね。
実際に、小学生ママ・パパの回答者のうち、75.6%もが、夏休みに対する不安があると答えました(本アンケートは7〜8月にかけて実施)。そんな中でも、役立つサービスとしてあがったのは、
1.両親・親戚との連携
2.学童でのお弁当サービス
3.サマースクールでのイベント、でした。
小1の壁はあくまで家庭の問題…ではないのです
これらのデータをみても、大変だけどそれは家庭の問題だから…と思う管理職の方々は、それが自身の組織のパフォーマンスに大きな影響を与えていることを気づくべきです。
まず、回答者の属性からもわかるように、小学校に通う子どもを持つ親の多くは、中間管理職へとトランジションをする世代でもあります。保育園に通う子どもを持つ親の回答者のうち一般社員の割合は、41.8%でしたが、小学生の親は29.9%にまで下がっています。この数字にだけ注目すると、中間管理職に上がっているから減っているのかなと、思いますよね。でも、データを見てみると、中間管理職(係長・主任/リーダー)の割合は26.2%から19.2%まで下がっています。もちろん、これは同じ回答者のキャリア比較ではないのですが、意外だと思いませんか?
この理由として、上記の自由記述にもありますが、小学校に上がりさらに両立が大変になる中、企業のサポート制度は終了してしまい、キャリアに打ち込むのはもってのほか、セーブして別の働き方に切り替えている人が多いと考えられます。実際に、契約・嘱託・派遣社員として働いている割合は、保育園児の親は4.4%だったのに対し、小学生の親は7.2%でした。
女性活躍を進めるうえで、政府も第5次男女共同参画基本計画にて、女性管理職(係長相当職)を2025年までに30%まで増やすことを目標としてあげています。
子どもが成長するうえで、特に子育ての負担を背負うことの多い女性の働き方を企業も考えられないと、管理職が育ちません。
「せっかく期待して色々制度もつくったのに、管理職が増えない」そんな悩みを企業側からもよく聞きます。しかし、その制度はライフステージが変化しても働き続けられる仕組みであるのか、今一度確認する必要があると感じています。
厚生労働省の調べによると、2022年時点での日本の第一子出生時の母の平均年齢は30.9歳なので、36-40歳ぐらいに子どもが小学校に上がるとします。この年代は、ちょうどキャリアとしても、管理職の手前なので、このときに働き続けられる環境がないと、せっかく育てた人材が流出してしまうのです。
企業はプライベートにかかわっていいのか、ということがいまだに議論されることが多いと感じています。しかし、働き続けられる人材を増やすためには、プライベートのフォローやそのサポートが必須です。そういうことに気づいている会社が、どんどん生き残っていくのです。
しかも、本アンケートでも、この「小1の壁」への不安で、子どもが小学生になる前から、転職などの働き方の変更を考えている人が3人に1人もいるうえ、実際に4人に1人が働き方の変更を実行していることが明らかになっています。人材不足がこれからどんどん進む中、企業側にとっても、これはしっかりと取り組まなければいけない問題です。
小1の壁を乗り切る中で、会社に行ってほしいことトップ3
本アンケートで明らかになった、小学生の子どもを持つ当事者の声です。
1位:就業時間の柔軟性(リモートワーク、有休1時間単位取得など)(63.5%) 2位:職場での小1の壁の理解促進(47.4%) 3位:夏休み・春休みの補助(42.5%) |
特に2位にあがっている「職場での小1の壁の理解促進」は、そんなに難しいことではありません。状況を理解したうえで、上司、同僚同士がコミュニケーションをとるだけで、ずいぶんと精神的負担は軽減されるのです。
「小学生なのに、以前より早く帰らなければいけないっておかしくない?」「なんで子どもがせっかく大きくなってきているのに、仕事をスケールバックしているの?」と言わずに、「小学生だからこそ色々忙しくなるよね。どういう風に仕事を進めるのがベストかな?」と言えるだけで、大変さはずいぶん軽減されるのです。
ぜひ、今後の社員の働き方を考えるうえで、参考にしていただければと思います。
【女性活躍推進コラム】
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